昨年末の演説で、北朝鮮の金正恩総書記の対南姿勢がアップデートされました。

「同族である南朝鮮」から、「交戦国である大韓民国」へ名称変更。

 

そして、「いつになっても統一は実現し得ない」と発言したそうですが・・・・

もしかこれは切り抜きではないだろうか。

 

北朝鮮的には「〇〇〇せよ!それなくしては、いつになっても統一は実現しえない」という文脈ではないかなーなんて、中学生の国語の読解レベルで文脈を推測します。文脈推測、意図憶測ですね。

その場合、〇〇〇に当てはまるのは、けっこう強気で決定的な、北朝鮮の人民の忠誠心、愛国心を鼓舞する扇動的な内容なはずです。


で、それがいつもの口だけの内部向け演説なのか、それとも本気かつ実力を伴いすぐにやる気な二国間あるいは代理戦争の親分国を含む戦争なのか、そこがポイントなわけですが、リンク記事本文からはわかりません。

現実のところでは、昨年のミサイル発射実験はこれまでにない様子でした。それはロシアへの武器売り込み広告なのか、アメリカへの牽制なのか、中国へのアピールなのか。・・・ま、全部でしょう。

日本への嫌がらせも? 大日本帝国は過去の敵国でしたからね。北朝鮮の精神としてはそうなんでしょう。かつ現代では領海すれすれにミサイルをぶち込んでも遺憾砲しか発射できないお手軽な相手ですからね。便利ですね。

おっと、別記事でも、「北朝鮮は南北統一の目標を放棄した」とありました。下にリンクつけときますね。(リンクばかりで紛らわしいですが)



実は北朝鮮は、中国が台湾を統一しようとするときには北朝鮮は中国と歩調を合わせて韓国に武力恣意をするだろうと予想されています。在韓米軍およびアメリカの台湾介入への足止め的にです。

アメリカを困らすためなら中国もロシアも強く背中を押してくれることでしょう。いえ、既に押してくれていることでしょう。武器輸出、食料や必需品の輸入、共通の敵、国益、Win-WIn関係です。

アメリカのシンクタンクでは、数か月以内にその危険性があると予想されています。ただ限定的な短期戦であって、長期の総力戦はやらないだろうと。

 

抜粋

 

> 金委員長はこの演説で「大韓民国を徹頭徹尾、第一の敵対国、不変の主敵」と憲法に明記しなければならないと述べた。また、先月には南北関係は「二つの交戦国の関係」と規定した。

 

> 関係者らはさらに、2010年の延坪島(ヨンピョンド)砲撃の際、韓国が反撃したにもかかわらず状況が早期に終了した事例を挙げ、金委員長は、攻撃に出ても一定水準の緊張高揚行為は統制できると考えているようだと述べた。


ロシアとウクライナの件も同様ですが、防衛戦をする相手というのは、ちょっかいを出す側にとっては気楽で有利な相手というわけですわな。


韓国は一応、「やられたら3倍返し」をすることになっておりまして、一応延坪島(ヨンピョンド)事件の際も3倍返しの応戦をしたのですが、はっきりした反撃の成果はなかったと記憶しています。


3倍返しと形式的に決まっているということは、北朝鮮はちょっかいを出しても事態を一定水準にコントロールできる安心感があるでしょうね。

 


>それでも、南北統一の目標を放棄するという公式発表は、多くの関係者を困らせた。

北朝鮮にとって韓国との統一は、たとえどんどん非現実的になったとしても、建国以来、重要なイデオロギーの一部であり続けていた。




では本日のタイトルである、メインの記事リンクです。


限定的な武力恣意行為をする可能性が高まったと指摘されている北朝鮮に対して、韓国は「統一ではない平和」を望む内容です。

軍の関係者でも国際政治学者さんでもなく、歴史学者さんの寄稿ですので、

半島の歴史として、そうであってほしいのはわかります。

 

 

いまだに韓国人の願いは統一なのか【寄稿】

金正恩の朝鮮労働党演説…統一民族主義の棺にくぎを打って葬るもの
南も北も相手より力が強かったときに「統一しよう」と大声…金正恩発言は結局、統一が怖いだけ
今の韓半島において急ぐべきは統一ではなく、平和的外交関係だ

 
 
韓国人の願いは統一なのか?

 北朝鮮指導部の答えは、断固として「ノー」だ。昨年12月30日、北朝鮮の朝鮮労働党中央委全員会議の演説で金正恩(キム・ジョンウン)総書記は、南北関係は「同族関係」ではなく「敵対的2国家関係」であることをはっきりさせたまた、朝鮮中央通信は「民族、同族という概念」が北で既に削除されたと明言した。

 驚かされるが、驚くべきことではない。1990年代に当時の金正日(キム・ジョンイル)総書記が強調した「わが民族第一主義」の“民族”が、南を排除して北だけを指すものであったことは、既に北朝鮮専門家らの間ではよく知られていた。民族主義的な未練のせいで、ひたすら知らぬふりをしていただけだ。
 
 2023年末の金正恩の公式演説は、統一民族主義の棺にくぎを打って葬り去るものとなった。現実政治の観点からすると、理念や政治体制、社会の構成原則、経済的な生活様式が根本的に異なる2国家に血統的な民族の物差しを突き付け、一つにくくろうとする発想は限りなく荒唐無稽なものだ。

 ところが、統一民族主義者らが「進歩」の高地をわが物とし、また、保守言論すらも彼らを「進歩」と規定している韓国の政治談論はもどかしい。統一民族主義のために多数の幸せを犠牲にせねばならないとしたら、その進歩は、ゆがんだ権力の装飾に過ぎない。

 南北の指導部にとって民族は、権力維持のための、政治工学上の便利な道具だった。大衆の感情に訴える民族主義の爆発的な力があるせいで、どの政治勢力も統一を手放し、否定することができなかった。

 統一に対する南と北の立場は、2国家間で力の均衡がどちらに傾くかによって変わり続けた。北の軍事力が南より強かったころは、北が民族統一を強調し、統一の名分を捨てることができなかった南は消極的だった。
 
 南が北よりも統一に積極的になったのは、1990年代のことだった。南の優位が確実になるや、意思疎通が可能な北の安い労働力に対する企業の欲求や、保守・進歩を問わぬ民族主義的訴求力を見抜いた権力の政治工学が、統一という政治的目標を共有した。

 反面、北は身をすくめ続けた。南北問題を「特殊な民族的問題」と定義した91年の南北基本合意書のインクもまだ乾かぬうちに登場した、北の「わが民族第一主義」は、南を排除した北の民族第一主義だった。

 最近、北が南の呼称を「南朝鮮」から「大韓民国」という正式な国号に変えたのも、ただならぬ動きだ。南と北は、国際関係として見るべき別個の国である-ということを鮮明にしたのだ。統一民族主義の美名から脱して見つめてみれば、南北問題は一つの民族の問題ではなく、全く異なる体制を指向する国家間の国際問題だ。

 「吸収統一」を基調とする韓国とは異なり、演説で「いつになっても統一は実現し得ない」と発言した部分に、統一に対する金正恩総書記の恐怖がよく現れている。相次ぐ軍事的挑発もまた、そうした恐怖の表現だろう。南の統一民族主義者らが北に対して持っている民族的好意すら迷惑なのかもしれない。

 同じ民族だからといって、韓半島の平和が保障されるわけではない。統一民族主義は、民族は一つといううわべだけのもので、いや、そのうわべのせいで南北の民族的正統性競争を呼び、かえって緊張を高めてきた。韓国の国際関係において、他の隣国よりも最も近い隣国である南北関係が最も行き詰まっているのは、こうした点も理由の一つだった。

 南北が緊張を緩和し、平和な隣人として生きていくためには、国際関係の原則に基づいて国交を樹立し、平壌とソウルに大使館を開設するのが正しい。外交的プロトコルに基づくならば、日本の首相に対するように「閣下」と敬称を付けてくれるどうかは分からないものの、少なくとも「傀儡(かいらい)」と呼ぶことはできないだろう。

 2024年の「太陽政策」は、民族という空虚な表題語を捨てて、軍事的抑止力を堅持しつつ、まずは南と北の2国家が平和に共存する国際関係を図らなければならない。外交部(省に相当。以下同じ)が南北交渉の主役に乗り出し、韓半島を含む東アジアの平和的国際関係を構想するのが妥当だ。そのほか環境部、産業部など所管の部処(省庁に相当)ごとに北朝鮮局・北朝鮮課などを置き、最も近い隣国である北との国際協力を図ればよいだろう。

 今、韓半島で急ぐべきは民族統一ではなく、最も近い隣国である南と北が平和的外交関係を樹立することだ。われわれの願いは、統一ではなく平和だ。

林志弦(イム・ジヒョン)西江大学教授(歴史学)

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
 



さてみなさんこれを読んでどう思われましたか?

温度差というのは、埋めるべきものなのか。あしらうべきものなのか。

でも少なくとも理解はしなくちゃいけない。



>統一に対する金正恩総書記の恐怖がよく現れている。相次ぐ軍事的挑発もまた、そうした恐怖の表現だろう。
 
恐怖なのかな~?
 
韓国の方で、「金正恩は大韓民国を恐怖の対象として見ている」と考えたいだけなのかも。

ちゃんと相手を理解してないと、変なところでこけちゃいますからね。

いっつも「後頭部を殴られる」(予想もしなかった相手に後ろから殴られるように、期待して油断して裏切られることを表す)韓国ですからね。

韓国としては、後ろから殴る奴が悪いと相手を非難してますが、こっちからすると韓国の方が勝手に期待して勝手に後頭部を殴られてるわけですよ。

例えば韓国の大統領が日本を訪問して韓日関係改善の姿勢を示したのに竹島の日を記念したとか慰安婦に謝らないとかね。

そういうささいなことなら後ろ頭を殴られたと感じても自尊心が傷つくくらいで済むのですけど、致命的に殴られることも多そうですからねー。




と、同じくお花畑日本として、自戒の意を込めたいと思います。

 

頼りない「準同盟国」日本

抜粋
 

> かつてインドを支配下に置き、中央アジアでロシアと対峙しながら「グレート・ゲーム」を繰り広げた英国は、「パン・ロシア」の大陸勢力が如何に強かであるかよく知っている。その英国が近年、「グローバル・ブリテン」を掲げ、インド太平洋に戻ってきた。2021年夏に最新空母「クイーン・エリザベス」率いる空母打撃群が太平洋にやってきて、日本の自衛隊と共同演習を行なったことは記憶に新しい。その空母打撃群はスエズ運河と紅海を通ってきたのであるから、英国は当然、現在の紅海の状況の深刻さを認識している。英米がイエメンのフーシ派の拠点を空爆しているのは、その危機感の表れである。海洋国家にとって、海上交通のチョークポイントを敵対する大陸勢力に押さえられることほど危機感を掻き立てられることはない。


> これに対して、同じ海洋国家の日本の対応はどうであろうか。危機感の欠片もないように見受けられる。1月12日と22日に米英両軍がフーシ派の拠点を攻撃した際、カナダ、オーストラリア、オランダ、バーレーンがこれを支援し、ドイツ、韓国なども加えた10カ国が共同声明を発表し「航行の自由や国際通商、船員の命を守るとの共通の決意」を示した。世界を舞台に通商を行う海洋国家・日本がこれに参加していないとは一体どういうことであろうか。

 

>世界では大陸勢力と海洋勢力がせめぎ合っているという地政学的発想が、日本政府には未だ欠けているようだ。
 



(「世界を舞台に通商を行う通う国家日本」ではありますが、武力による安保維持を支持するには消極的なのでしょう。周辺国から自らを守ることもできないことに現在身もだえてますからね。)



ロシアとウクライナ戦況を、この2年間各国は注視してきたわけです。


中国も北朝鮮も、当事者意識で見守り支援してきたことでしょう。
 

そしてそれぞれの可能性と戦略と結論を、現時点で出したのかな。


(出生数から見ると韓国軍は20年後には頭数が半分以下になる。金正恩総書記は若いですから、十分に待てます。)